この記事では、
心神喪失や心神耗弱で無罪になった後、再犯するのかに注目していきます。
そもそもなぜ無罪になるのかについても紹介します。
この記事を読むと、
- 心神喪失や心神耗弱とは何か
- なぜ無罪になるのか理由を解説
- その後再犯を犯したりしないのか
こんなことがわかります!
心神喪失や心神耗弱とは何?違いは?

まずは心神喪失や心身衰弱とは何かについて説明します。
心神喪失とは何?
最初に心神喪失(しんしんそうしつ)から説明します。
要点だけを言うと、
心神喪失とは、善悪を判断する能力が全くないこと。
簡単に言うと上記の通りなのですが、一応判例によると、
「精神の障害により事物の是非善悪を弁識する能力なく又はこの弁識に従って行動する能力なき状態」であると言います。
稲葉セントラル法律事務所より引用
というものです。
要するに精神の障害で悪いことがわからない状態。です。
心神耗弱とは何?
次に心神耗弱(しんしんこうじゃく)について説明します。
こちらも要点だけいうと、
心神耗弱とは、善悪を判断する能力が著しく低いこと。
という意味です。
こちらも判例によりますと、
「精神の障害が未だ上記能力を欠如する程度に達していないが、その能力が著しく減退した状態」であると言います。
稲葉セントラル法律事務所より引用
というものでした。
要するに精神の障害で悪いことが“わかりにくい”状態。ということです。
それではなぜ心神喪失や心神耗弱で無罪になるのか。
その理由を次で見ていきましょう。
心神喪失や心神耗弱でなぜ無罪になるのか理由を解説

心神喪失や心身衰弱ではなぜ、無罪になるのでしょうか?
詳しく調べてみると、両方で無罪になるわけではなさそうです。
刑法には以下の通りに記されています。
- 「心神喪失者の行為は、罰しない。」
- 「心神耗弱者の行為は、その刑を減刑する。」
(刑法39条1項、2項)
これを見て分かる通り、無罪になるのは心神喪失者のみです。
心神耗弱者は減刑を受けることはあっても、無罪にはならないようです。
そして無罪や減刑になるのは、極めて稀なようです。
刑事裁判で心神喪失が認定されると無罪の判決が下りますが、心神喪失と認定されるのは極めて稀です。
東京中央法務オフィスより引用
極めて稀であっても、犯罪を犯したのになぜ無罪になるのでしょうか?
無罪になる理由は『責任能力が無いから。』
これは心神喪失者にあった『善悪の判断が出来ない』というのが理由です。
日本では罪を犯した人に責任を問えるのは、違法であることを理解しているからです。
ですが心神喪失者にはそういった「悪いことをした」という考えがそもそもありません。
ですので、責任能力がないとされ、罪に問うことが出来ないのです。
心神喪失や心身衰弱で無罪になったその後再犯したりしないの?

最後に心神喪失者が無罪になった場合、その後再犯を犯したりしないのかについて解説していきます。
答えから言うと、
一般犯罪者に比べて極めて低い。
と言えます。
犯罪白書によると、さつ人や放火を犯した精神障害者について、初犯後11年間における再犯実態は、
- さつ人|6.8%
- 放火|9.4%
となっています。
非常に高いように見えますが、一般犯罪者を見てみると、
- さつ人|28.0%
- 放火|34.6%
と、精神障害を持った人の再犯率に比べて極めて高いです。
無罪だから何回も繰り返すのかな?と思っていた方は驚いたのではないでしょうか?
無罪になったから終わりではなく、実際はその後に3~5年位の入院があります。
そこで社会復帰を目指す流れのようでした。